前作犯人に告ぐの話から半年・・・。今回は劇場型捜査ではなかったが、手に汗握るおもしろ要素が盛りだくさん!犯人を応援したくなっちゃったよ!?
序盤から犯人に感情移入!?
最初から犯人側の登場人物ばかりが登場します。今回のメインは誘拐事件です。
誘拐事件を起こした犯人グループの中心人物がいかに堕ちたのか。
誘拐事件の対象となる人物を選んだ因縁、動機まで
その過程が丁寧に描かれていきます。
砂川トモキ
彼は大学生までは順調に人生を送っていましたが、交通事故による両親の他界、保険金で大学は卒業したものの、就職氷河期でやっと内定が決まった企業が賞味期限を改竄した問題で倒産寸前になり、内定取消。
そこから彼は、堕ちていきました。
振り込め詐欺の掛け子として稼いでいましたが、
人生をやり直すまとまった金を求めて、誘拐事件に加担していきます。
振り込め詐欺の指南役が誘拐事件を企て、トモキを誘ってきます。
トモキが堕ちるまでの過程を聞きながら、そっちに行ったらダメだと思いながら、悪い方に進んでしまう。そんな様子をドキドキしながら聴きました。
いつの間に犯人側に感情移入してしまい、「悪いことしているけど、警察の包囲を抜けてうまくいってくれ〜」って願う自分がいました。
「でも、正義が勝つから捕まっちゃうんだろうな」と複雑な心境でした。
推しています!ガンバレ「ちょんぼ小川くん」!
前作では、聞き込みで犯人に偶然ビンゴしてしまい、ラッキーで本部長賞をもらった小川かつおくん!素人みたいな失敗(証拠品を素手で掴んだり、マスコミに意図せず情報を漏らしていたり)をするので、「チョンボ」と呼ばれています。
今回も重要な役どころで登場しますが、チョンボキャラが強調されすぎて、あまり活躍シーンがありません。今回も小川くんのラッキーで真相に、犯人逮捕につながる展開を期待していたので、この点はがっかりしました。
次作での活躍を期待しています。
ガンバレ!小川くん!
恐ろしい現代の犯罪・・・振り込め詐欺
振り込め詐欺の手口についても詳しい説明がありました。
いろんな役が変わって相手に偽の情報(本物のオレだと)信じ込ませ、お金を騙し取る手口は巧妙でした。ただ電話を掛けるだけで、その場の勢いでなんとかするのではなく、入念な下調べをしていること、時には実際に民生員と偽って本人と直接話をしておくなど、そこまで用意周到にやるのか。と驚きました。
声、話し方も本当にその人物と話しているように聞こえるように何度も練習しており、とても地道な努力があるのだと知りました。
振り込みは引き出し時が危険なので、受け子を使って、受け取る方法をとっていることもできるだけ捕まるリスクを下げるための対策です。
自分は騙されないと思っていても、このような巧みな仕掛けを使ってこられると、隙につけいられ、騙されてしまうかもしれません・・・・。
誘拐ビジネス元年になる!?
誘拐なんて、絶対に成功しない犯罪だと思いませんか?
絶対警察絡んでくるし。
身代金受け渡しなんて警察が周りを囲んでいるに決まっていませんか?
なぜうまくいくと思ってやるのか?
犯人側の誘拐を企てた人物は電話で受け取りなどの指示をするから、警察がそこで張っていて、捕まる、失敗するのだ。と言っていました。
じゃあどうするのか、犯人側と被害者側で直接交渉すればいいじゃないか。という結論でした。
今回の事件も社長の息子を先に誘拐し、その後に、社長を誘拐しました。
監禁場所で社長に直接、身代金の受け渡し方法を指示しておき、警察には嘘の情報を伝えるようにしてから、社長を解放していました。
解放された社長は警察に嘘の受け渡し場所を伝えたので、警察は全く違う場所で包囲網を作って、犯人を待ち構えていました。
確かにこうすれば、うまくいきそうです。
実際は失敗に終わったんですが、その原因になったのは、ギリギリのところで社長が裏切り、警察に本当のことを話ししたからです。
でもこの方法だとうまくいきそうです。海外では、誘拐事件はよくあることなので、怖いな。と思いました。
副題「闇の蜃気楼」について
何度か副題については触れられる機会があります。
犯人の砂川トモキが抱いている願望。
誘拐事件で、大金を手に入れ、人生をやり直すという夢は本当は叶うことがない。
犯罪者に堕ちた暗闇の中で、トモキが見たその叶わない夢について「闇の蜃気楼」と語られていました。
トモキくんの背景、動機、心理状態から感情移入し、最後の逃走劇までハラハラ、ドキドキしながら「もうやめなよ!その先はないよ!幻だよ!」と思いながら聞いていました。
可哀想なトモキくん、きっと他の道はあったはず、犯罪に加担せずに生きていく道はあったはず、トモキくんが、そして、トモキくんと同じような境遇の人が犯罪に手を染めることなく、踏みとどまり、歯を食いしばり、チャンスを掴んでいってほしいと願います。
次作が楽しみです!
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