英語ができることに憧れ、目標を持って勉強をされている人は多いと思います。
英会話を習っている方、テキストを買って勉強されている方など目標に向かって頑張っておられると思います。
会話しているのに、問題を解いているのに、すぐ忘れてしまう、なかなか身につかないってことありませんか。
もし、普段勉強しておられない方でも、中学生から高校まで卒業した方なら6年も勉強する機会があったにも関わらず、大して身についていないと感じている方は多いのではないでしょうか。
これは、なぜなのでしょうか。みんながちゃんと勉強しなかったからでしょうか。
自分の能力のせいや、自分の努力不足のせいにすることはあっても、本当は授業のやり方にそもそも問題があったと考える人は少ないのではないでしょうか。
実は学校の授業で行われていることって、一見理屈に合ってそうに見えて、人が言語を身につけるための条件から外れたことがあるんです。
今回は、英語、第二言語を身につける上で大事なポイントを言語学者であるスティーブン・クラッシェン教授のインプット仮説理論を元に、まとめてみました。
インプット仮説とは
インプット仮説理論はインプットだけで言語は習得されるというものです。
アウトプットはいらないの?、むしろそっちが大事じゃないの?と思いますよね。
しかし、アウトプットするには、正しいインプットが必要です。そして正しいインプットができれば、アウトプット練習する必要なんてなく、話すことができます。
子どもが母語を習得するのと同じです。
みなさんが子どもの頃、新しく覚えた言葉を何度もくりかえしリピート練習させられましたか?パターン練習をしたでしょうか?
たくさんの言葉をいろんな人からいろんな場面で聞くことで、どんな場面でどのように使うのかを無意識レベルで身につくまでインプットしまくっていたはずです。
インプットの情報は言語に関する情報全てです。
意味だけじゃなく、発音、抑揚、間(ま)、スペル、語順など全てにおいて、まずは正しいインプットがなくてはアウトプットできませんよね?
しかし、とにかく学校の授業では、アウトプットが重視されています。
英会話の学校の授業でもそうかもしれません。
説明を聞いたら、すぐにリピート練習、単語を入れ替えてパターン練習、とにかく使っていけば身につくと信じて、アウトプットをさせられますよね。
アウトプット練習するから使えるようになると思っています。
しかし、実際にできますか?反射レベルで使いこなせるようになりますか?いつでも、その言葉を聞けば単語の意味が瞬時に思い出せるでしょうか。
インプットを何度も聞いて(読んで)いくうちに自分の内側に染み込んでいくんです。無意識レベル(意識して日本語で考えなくても意味がわかるレベル)でその表現が理解できる。発音もできる。スペルもわかる。
そうなれば、アウトプットの練習は必要ありません。
情意フィルター
言語活動を行うとき、脳内には情意フィルターが存在し、インプット、アウトプットの効率に影響を与えているという話があります。
このフィルターがない方がインプットでもアウトプットでも情報が自由に行き来できるので、インプットが記憶に残りやすく、記憶していることをスラスラと話す(アウトプットする)ことができます。
このフィルターは不安な気持ちが引き金となって現れます。
人前で緊張すると言葉が出てこないということがありませんか。
学校の授業で先生に当てられて、みんなの前で発音させられることがありますが、あれも情意フィルターが邪魔をして学習効率を下げてしまっているんです。
フィルターを下げるためには、不安がなく、安心して、楽しく過ごせることが重要になります。
小学生や幼児英語などで歌で楽しく英語を覚えているのは、この効果を意識したものなんです。
皆さんの勉強は不安なく、安心して、楽しい勉強になっているでしょうか。
インプットであれば、どんなものでもいいの?i+1について
じゃあ、インプットなんだから聴きまくれば良いのか。と思いますよね。
一時期「スピードラーニング」が流行っていました。
CDを聞き流すだけで、英語を覚えちゃおう!というものです。
しかし、インプットには、条件が合って、「理解できるインプット」comprehensible inputである必要があります。
日本語をつければ、どんな内容だって理解できるものになりそうですが、そういうことではないんです。
英語だけで理解できるインプットなんです。
これは、聞き流しでは難しいですよね。
映像がないですから。
視覚情報はとても重要です。
子どもが言葉を覚える時もパパが目の前にいて、パパが自分を指さして「パパ」と伝えて覚えさそうとしている場面が思い浮かぶと思います。
他のものでも同じですね。
犬を見て、まあ最初は「ワンワンだね」とか言いながら、話をして子どもが「ワンワン」=犬を覚えます。
このように理解可能なインプットから身についていきます。
最適なインプットは理解可能で自分のレベルより少し上のインプット(i+1)(アイプラスワン)です。
自分が理解可能なインプットよりレベルが上がったら、理解できないインプットになりそうですよね?
でも、たとえば、先ほどの例のように、実物を見せる、絵を描く、ジェスチャーで伝えるなどすれば、理解可能なインプットになっていきませんか?
このように自分のレベルより少し上のレベルのインプットをすることにより、英語を英語のままで理解し、覚えることができるんです。
間違いなおし、訂正の無意味さ
先生によるエラーコレクション、つまり生徒の間違いを指摘して、訂正する指導は効果がありません。
先ほどの「パパ」を例にとると、小さい子が「パパ」を覚えると何にでも「パパ」と言ってしまうことがあります。
周りがどれだけ違うことを伝えても、話者自身が「パパ」なのか、「パパ」じゃないのかを自覚して、判別できるようになる時まで、続いてしまうんです。
しばらくすると正確にパパにだけ「パパ」というようになったのは、こちらが訂正したからではなく、学習者自身が何度もインプットを入れたことで、判別できるようになったのです。
これは、どれだけ年齢が上がったとしても同じことが起こります。
先生なら納得されると思いますが、何度も同じことで生徒さんが間違うことってありませんか。
こちらがいくら修正しても、学習者本人が違うことを認知できるまでは、変わることはありません。
時間の無駄なんです。その人にとっては、そのレベルはまだi+1ではないことなので、仕方がないことなのです。
まとめ
学習するときに、英語を英語のままで理解し、インプットし、習得していく学習方法は効果的です。
読み聞かせ、物語を話してもらう、英語の本を読むなどは、語彙獲得に、大変効果的です。
学校選び、先生選び、自習するとき教材選びの参考にしてみてください。
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